顧問弁護士(法律顧問)としてよく質問を受けるテーマをまとめていきます。
まずは、裁判員制度が開始したことに関して、従業員が裁判員となる場合に備えて、企業として注意すべき点についてです。
裁判員候補者は、まったくのランダムで選ばれますので、いつ貴社の従業員が選ばれるかわかりません。
貴社の従業員が裁判員(候補者)となって裁判所に呼び出される場合に、会社が負う法律上の義務は以下の2つに限定されていますから、これら以外に関する具体的な対応は企業ごとのルールを決めて差し支えありません。
①その従業員の欠勤を認めなければならない
②裁判員(候補者)となったことによって解雇等の不利益な取扱をしてはならない
※ ここにいう不利益な取扱には、解雇、退職強要、降格処分、減給処分などが含まれます。なお、ここにいう減給処分には、裁判員活動により出勤できなかった日を欠勤扱いとして無給とすることは含まれません。欠勤中の有給が保障されているわけではないからです。
従業員が裁判員に選ばれた場合、その従業員は数日間にわたって欠勤せざるを得なくなります。したがって、会社としては、呼び出しがあったらその事実を事前に把握する必要がありますが、会社には、従業員が裁判員候補者として呼び出された事実は知らされないため、その従業員に自発的に報告してもらうしかありません。そこで、社内ルールとして、そのような自発的に報告すべき義務を従業員に課すべきですし、その義務を社内規程に明記しておくことが望ましいです。その際、欠勤中の給与の支給の有無等についても具体的に定めておくべきでしょう。
なお、社内の重要人物が裁判員に選ばれた場合には、数日間欠勤しただけでも、企業活動に重大な支障が生じることがあります。会社として、その従業員について辞退を認めてもらいたい場合には、会社側で具体的な職務内容や欠勤により企業がいかに甚大な影響を被るかを記載した上申書を作成し提出するなどの方法が考えられます。提出する上申書の内容などについては、顧問弁護士にご相談ください。ただ、どの程度の事情が認められれば確実に辞退が許されるかは、現段階では確実なことは申し上げられません。今後の運用を見守る必要があろうかと思います。
ご不明な点などありましたら、顧問弁護士(法律顧問)にご相談ください。
従業員の方で、法律問題についてお悩みの方も、弁護士にご相談ください。
最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者が不払い残業代を請求するというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、御社の顧問弁護士を検討することをお勧めします。