2010年12月6日月曜日

交通事故の判例紹介

交通事故の裁判例です。交通事故の示談や慰謝料については弁護士に相談することをお勧めします。貴社の社員が交通事故を起こしてしまった場合は、顧問弁護士にご相談ください。本件交差点は、別紙交通事故現場見取図(以下「別紙図面」という。)記載のとおり、東西に走る道路と南北に走る道路が交差する十字路交差点である。本件交通事故当時の天候は晴れで、路面はアスファルト舗装され平坦で乾燥しており、交差点内に車両の進路前方の見通しを妨げるものは何もなかった。被告は、被告車両を運転して、東西道路を東方から西方に向かい進行してきて本件交差点に至り、対面信号機(別紙図面で(甲)と記載されたもの。)の赤色表示に従い、先頭車両として停止線手前で停車した(同図面の〔1〕と記載された位置。)。その際、本件交差点北西角に位置するガソリンスタンド手前の歩道上付近を確認したが、信号待ちをしている自転車等は見当たらなかった。その後、信号機が青色に変わったため、被告車両をゆっくりとした速度で発進させ、同図面記載〔2〕地点付近で、進行方向右(北)方の南行き車線の内、分離帯で区画された歩道寄り車線上を進行してくる車両がないかどうか確認したが、車両がなかったため、徐々に加速しながら直進したところ、同図面記載〔3〕地点付近において、右方から被告車両の直前に進出してきた原告の運転する自転車の前輪左側面部に、ほぼ真横から、被告車両中央ないし右前部を衝突させた。被告は、衝突の直前に自転車を発見し、直ちに急制動の措置を講じたが衝突を回避できず、被告車両は原告に衝突した後、別紙図面記載〔4〕地点付近で停止した。上記のとおり認定した事実によれば、被告は、被告車両を運転して、対面信号機の青色表示に従い、時速三〇キロメートル以下の速度で本件交差点内を通行しようとしたものであるが、交差道路を通行する自転車等に対する注視を欠いて、交差道路上を北方から南方に向かい進行してきた原告運転の自転車に衝突直前まで気付かず、自車を衝突させたことが認められるから、民法七〇九条に基づき、原告が被った損害を賠償すべき義務があるというべきである。なお、原告は、本件交通事故の状況につき、前記ガソリンスタンド手前の歩道付近で信号待ちをした後、信号機が青色に変わったので、本件交差点の南東角方向を目指して東西道路を斜めに横切るように自転車を運転中、いきなり正面から被告車両が接近してきたため、咄嵯にハンドルを左に切ったが、被告車両も同方向に寄ってきたため衝突した、前方から被告車両が進行してくるのは衝突直前まで気付かなかった旨主張し、かつ、供述する。しかしながら、原告がその主張するような走行経路をたどったのであるとすれば、原告と被告は、互いに進行方向右斜め前方から相手方車両が自車の方に向かって進行してくるのを容易に認めることができたはずであるから、双方共に衝突直前まで相手方車両に気付かなかったということは考えがたい。また、原告の供述するような衝突時の状況によれば、原告の自転車は被告車両と正面衝突するか若しくは自転車の右側面が被告車両と衝突することになると考えられ、原告の自転車前輪左側面に被告車両の前部ナンバープレートと衝突した痕跡(黄色塗膜の付着)が認められる(乙三添付の写真第六号)ことの説明がつかない。したがって、原告の前記供述は容易に信用することができないから、原告の主張は採用し得ない。ブログ