2009年4月12日日曜日

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。

イ 時間外労働(残業)についての事前の承認
 被告においては,実際に労働実態もないのに,単に退社時刻やタイムカードの打刻時刻のみから時間外手当(残業代)が請求されることを防止するため,事前に所属長の承認を得て就労した場合の就業のみを時間外勤務として認めることとしている(前提事実(4)ク参照)。

 原告らが時間外手当(残業代)を請求できるのは,事前に所属長が承認した部分に限られるべきである。
ウ 職務手当
 被告は,原告ら各自に対して,毎月3万円の職務手当を支払っていた。被告においては,前提事実(4)エ記載のとおり,給与規定において,基本給とは明確に区分した形で職務手当を支給される旨や,「職務手当の支給を受ける者には,特に指定した場合を除き,時間外及び深夜勤務手当は支給しない。ただし,時間外及び深夜勤務手当額が職務手当額を超える場合には,別途超過額を職務手当の追加分として支給する。」旨が定められており,職務手当が時間外労働(残業)及び深夜労働(残業)の対価としての性格を有することは明らかである。
 したがって,仮に何らかの時間外労働(残業)や深夜労働(残業)が生じていたとしても,その割増賃金(残業代)額が月額3万円を超えない限り,改めて被告が割増賃金(残業代)の支払義務を負うことはない。
 なお,本件ホテルにおいては,被告の給与規定は,少なくとも平成14年以降は,就業規則とともに,フロント内書棚等に備え置かれており,周知されていた。
エ 割増賃金(残業代)の算定の基礎となる額
 前記ウ記載の職務手当の性質からすると,職務手当を割増賃金(残業代)算定の基礎となる額に含めるべきではない。
 また,皆勤手当は,無欠勤にて1か月就業した場合に支給されるものであるから(前提事実(4)オ参照),通常の労働時間又は労働日の賃金とは言えず,割増賃金(残業代)算定の基礎となる額に含めるべきではない。
(2)原告Hの不法行為に基づく損害賠償請求について
 平成16年3月11日に,Iが,他2名とともに,毎月実施される各店の巡回のために,本件ホテルを訪れたことはあったが,原告H主張のような発言をした事実はない。

なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。