このブログでは、企業の顧問弁護士をしている者の立場から、日々接している法律問題のうち、一般的な情報として役に立ちそうなものをメモしています。ジャンルは幅広く扱っていますが、近時、未払いの残業代の問題などの労務問題が増えているので、そのような傾向を反映した形でのテーマのバラつきはあるかもしれません。
今回は、女性特有の休業についてです。
まず、労基法65条1項によれば、女性が請求することで与えられる休業として、使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない、というルールがあります。
また、同条2項によれば、請求がなくても与えられる休業として、使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない、というルールがあります。
ただし、同ただし書によると、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えありません。
なお、同条3項によれば、使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
ちなみに、休業中は、労働協約や就業規則で特段の定めがないかぎり無休です(ノーワーク・ノーペイの原則)。
ただし、健康保険法102条によると、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日を限度として休業期間1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する金額が出産手当金として支給されます。
そして、労基法67条によれば、生後満一年に達しない生児を育てる女性は、法定の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができます。
育児は男性も担当することが望ましいですが、労働基準法上の育児時間は「生児を育てる女性」に認められる権利であり、男性には認められません。
さらに、労基法68条は、使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない、というルールを定めています。
以上につき、ご不明な点がありましたら、顧問弁護士(法律顧問)にご相談ください。最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。その他、残業代の不払いなどの法律問題でお悩みの方も、弁護士にご相談ください。
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