2009年2月11日水曜日

サービス残業(残業代請求)

今回は、サービス残業の残業代請求に係る裁判例を紹介しています(つづき)。

2 原告の主張
(1)時間外等の割増賃金(残業代)請求
ア 労働時間
(ア)原告らは,別紙労働時間計算表1ないし8に記載の出社時刻と退社時刻の間,業務に従事していた(これらの別紙においては,例えば,「37:12」はその翌日の午後1時12分を示すものである。)。
 なお,この出社時刻と退社時刻とはタイムカードに打刻された時刻であるが(前提事実(5)参照),原告らは,被告から,始業については,正規の始業時刻の20分ないし30分前に出勤して業務を開始するように指示されていたし,終業についても,タイムレコーダーを打刻してから残りの作業をするように指示されていた。
(イ)原告らの勤務時間中には休憩時間(深夜勤務の場合には仮眠時間)が予定されてはいたが,原告らは,業務のために,休憩や仮眠を取ることができなかった。
イ 給与額等
 原告らの各月の月平均所定労働時間数や,時間外労働(残業)時間等は,別紙計算表1ないし8に記載のとおりであった。
ウ 割増賃金(残業代)額
 前記ア及びイによれば,平成14年3月分から平成16年3月分までの原告らの割増賃金(残業代)の総額は,別紙計算表1ないし8の末尾に記載の金額となる。
エ 既払分(後記の被告の主張(1)ア参照)
(ア)原告Dは,被告から,時間外手当(残業代)として1万5172円を受領した。
(イ)原告Eは,被告から,時間外手当(残業代)として1192円を受領した。
(ウ)原告Fは,被告から,時間外手当(残業代)として4770円を受領した。
(エ)原告Gは,被告から,時間外手当(残業代)として2万2657円を受領した。
(オ)原告Hは,被告から,時間外手当(残業代)として11万1145円を受領した。
 なお,これらは,後記の被告の主張(1)ア記載の弁済のうち,原告らが時間外賃金の請求をしていない平成15年3月分以外の部分については,弁済の事実を認める趣旨である。
オ 請求の内容
 原告らは,請求の趣旨1ないし8の各(1)のとおり,別紙計算表1ないし8の末尾に記載の金額(ただし,原告D,原告E,原告F,原告G及び原告Hについては,この金額から前記エ記載の既払分を控除した金額)及びこれに対する平成16年4月1日(原告らが退職した後であり,かつ,同年3月分の給与の弁済期である同月31日の翌日)から支払済みまで年14.6パーセント(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項,同法施行令1条)の割合による金員の支払を求める。
(2)付加金の請求
 原告らは,請求の趣旨1ないし8の各(2)のとおり,原告ら主張の割増賃金(残業代)の請求額(請求の趣旨1ないし8の各(1)記載の金額)の半額(1円未満は四捨五入)に当たる付加金(労働基準法114条)及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。
(3)原告Hについて,不法行為に基づく損害賠償請求
 平成16年3月11日,Iマネージャー(以下「I」という。)は,原告Hに対して,原告らが労働基準監督署などに相談したことについて、「面白いことをしてくれたね,まだおるんか,いつ辞めるねん,こんな奴よう雇ったなあ,この百姓が。」などと罵詈雑言を浴びせ,「明日からは来なくていい」と言って,翌日から出勤できないようにした。
 これは,被告の事業を遂行するためにIが行ったものであり,被告は使用者としてIの不法行為について責任を負うべきである。 
 したがって,原告Hは,請求の趣旨8(3)のとおり,その受けた精神的苦痛に対する慰謝料として,100万円及びこれに対する不法行為の日(平成16年3月11日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。